5 1989年の東京都庁入都以来、都市づくりや交通政策の現場に携わってまいりました。さまざまなプロジェクトを経て、2024年に株式会社ゆりかもめの代表取締役社長に就任し、開業30周年という節目の年に臨んでおります。都庁に入った 1989年、周辺で臨海副都心のことは大きな話題になっていました。その頃、上司が講演で、東京都を十字に区切ると右下の部分が欠けている臨海部に「街」を作り、交通ネットワークも整備して、都全体をバランス良く構成していこうという考え方を説明されていたことが印象に残っています。 今後ゆりかもめと豊洲駅で接続することになる東京メトロ有楽町線の延伸や、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を見据えて計画された都心と臨海副都心を結ぶ東京 BRT(Bus Rapid Transit)、選手村の整備にも関わりました。 ゆりかもめは、単なる交通インフラではなく、東京という都市の進化を象徴する “ 未来志向の都市装置”です。これからも、人と都市、そして未来とを結ぶ架け橋であり続けたいと思います。公共交通機関として、何よりも大切なことは安全かつ安定した運行です。常に「安全」「安定」を最優先し、さらにその質をスピード感をもって高めていくことが私たちの使命だと捉えています。そのために、非常時への備えを常時から徹底しています。 今までにない事象が起きることもあり、昨年(2024)8月の豪雨では軌道が浸水し、今年(2025)1月は電力ケーブル損傷により輸送障害を起こし、お客様に多大なるご迷惑をおかけしました。原因究明を進め、電力ケーブルの点検強化、浸水センサーの設置などの対応を重ねています。また、深刻化する気候変動危機に向き合い、100%再生可能エネルギーでTop Message株式会社ゆりかもめ代表取締役社長ABE── 東京都庁ご在籍時代のゆりかもめとの関わりをお話しいただけますか。── 代表取締役社長に就任されてから、どのようなことに力を入れてこられたでしょうか。安部 文洋Fumihiro安全と安心をどんなときも「最優先」に進化するモビリティとして、たゆまぬ進化を誓う
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