ゆりかもめ 30周年記念誌
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29開業当時の中央指令所。自動運転のゆりかもめは、中央指令所での情報収集とコントロール力がトラブル時の対処の鍵を握る。(上)レインボーブリッジを渡り終えてループを下り芝浦ふ頭駅へ向かう。(下)ゆりかもめの専用軌道の横を走る一般道。風にあおられて走行路内に飛来、車両の保安空気タンクのドレーンコックを破損する事故が起きました。列車は緊急停止し、2時間にわたって運転を見合わせ、乗っていたお客様の避難を余儀なくされました。 対応策として当社では、走行路側面にすでに設置していたフェンスに加え、事故があった区間の天井部分にも屋根フェンスを設置しました。その他の区間にも側面フェンスを増設するなどの対処を行い、さらに飛来物の発生を減少させるため、道路管理者や所轄警察署などに貨物自動車の積荷の締結を徹底する指導を行うよう協力を仰ぎました。 車両故障などで列車が走行不能になった際、現場に急行し手動運転を行う必要がある当社では、数名の社員が動力車操縦者運転免許の国家試験に挑んできました。開業当初は、東京都交通局からの免許を所持する派遣社員が対応にあたっていましたが、1998年に固有社員から 2名の免許取得者が誕生しました。 開業後、お客様からの要望を取り入れながら、車内環境や快適性を向上させるための改良も重ねていきました。 ゆりかもめは開業以降、日々の点検業務を確実に実施するとともに、設備の改良を積極的に進めることで安全確保を最優先させてきました。このことは、公共交通機関としての使命でもありました。 開業後、沿線に商業・アミューズメント施設が増えるなかで、乗客数は順調に伸びていきました。反面、混雑に起因するトラブルも増えていき、1996(平成8)年4月には混雑する時間帯に数メートルのオーバーランが発生しました。当初、ATO(AutomaticTrainOperation: 自動列車運転装置)の信号系統または車両のブレーキ系統が原因と考えられましたが、分析の結果、乗客が景色を見るために先頭車両に集中し、荷重のバランスが悪くなったことでブレーキが適切に作動しなかったことが原因であると判明します。再発防止のため、現車試験を通して対策を検討、ブレーキ制御システムを見直しました。 また、レインボーブリッジに併設した専用軌道を走る新交通システムというゆりかもめの特徴が裏目に出る局面もありました。レインボーブリッジと前後の区間では、上部を首都高速道路、両サイドを臨港道路が走っています。開業約1カ月後の 1995年11月、重さ約14.5kg のベニヤ板がChapter01 開業からの 20年 開業前史〜2015年まで「安全」の徹底1998

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