ゆりかもめ 30周年記念誌
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19安部文洋社長と一緒に(本社屋上)最新の 7500系からの眺望を堪能Special Message――― ゆりかもめを作ることに関わられて、それまでのお仕事の違ったところや、やってよかったと思うことはおありでしょうか? それはやっぱり喜ばれた点ですよね。他の都市計画などでは、相当強く反対される方もいますが、ゆりかもめについては低公害の公共交通機関として歓迎されましたから、大きく違うな、ということを何度も実感しました。――― 最後に、現在のゆりかもめについて思うところがあればお願いします。 今日、安部社長と新橋から有明まで一緒に乗せさせていただいて、ゆりかもめの魅力を再認識しました。新橋での接続も、風雨除けの屋根をされたり、エレベーターを増やされたりして良くなっていますし、竹芝などは我々が想像しなかったような発展ぶりです。最前列席を占領してしまって子どもさんたちに申し訳なかったのですが(笑)、大きな車窓からの眺望や、港湾局が頑張って実現させたレインボーブリッジに入る前のループなど、やはり素晴らしい。一言で申し上げて期待以上に、臨海副都心開発の先導的役割、臨海部の交通利便性向上という役割を十二分に発揮されていると思います。副都心のあらゆる世代・用途の利用者、さらに外国からの訪問者、障害のある方を含めてどなたにも利用され、車窓からウォーターフロントの雄大な景色と未来型都市を実感していただく、との当初の願いが実現しています。新型コロナ禍を乗り越えて東京オリンピック2020の輸送対応も果たされ、長きにわたる安全安定運行の積み重ねにも大いに敬意を表したいと思います。東京の臨海部は一層の発展可能性を持つ魅力ある空間です。いま、計画が進んでいる新しい鉄道計画との一体活用が図られるよう、乗り換え利便性の確保策など、JR や地下鉄など他の交通機関との連動も含め、的確な対応を図って今後とも大きな役割を果たしていっていただくことを希望し、応援しております。創意工夫で垣根を越える熱意と伝統をこれからも大切にしてください。――― バリアフリーについても意欲的なことが資料からうかがえます。 時代の要請もあり、駅内、改札口のデッキへの昇降施設を含めバリアフリー対応の強化が求められました。当初、改札内のエレベーターは 10駅でインフラ外とされ、ゆりかもめの予算で整備しました。その後一部を除いてエレベーター、エスカレーターは改札内外問わずインフラ部として東京都の予算で整備し、ゆりかもめの予算でメンテナンスしています。未来型都市のふさわしい福祉のまちづくり対応の公共交通にしようと先進的に取り組みました。臨海副都心自体が東京都の新たな土地なので、開発者にもガイドラインで誘導、義務付けしていきました。せっかくゼロから新しい未来都市を作るんですから、理想的なものにしようと。ゆりかもめのキャッチフレーズである「ワクワクする」は、単に乗って楽しいだけでなく、施設の快適性、さらに臨海副都心プロジェクトそのもののコンセプトなんです。――― 開業や延伸計画はスムーズでしたか? 延伸計画は、開業前の 1990年に調査委員会の報告書で豊洲駅、勝どき駅に至るネットワークの整備を段階的・戦略的に進めていくことが決められました。その後、バブル崩壊や青島幸男都知事による都市博中止など、状況の変化はありましたけれど、豊洲駅まで順調に開業・延伸がなされています。都市博中止の際は、「空気を運ぶ」という観測記事が出たくらいで、本当に心配しましたけれど、多くの方がその時に踏ん張られて、基本的には必要な区間を整備する決断を東京都として下した。そして開業したところが非常にたくさんの方がご利用くださった。交通システムというのは、地域の背骨みたいなもので、多少の齟齬はあっても揺るがしてはいけないと思います。経済状況の急変を乗り越えて未来へ

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